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電験三種×CBT方式
いよいよスタート! さて、どうなる?
2023.07.20
柔軟性のCBTか、順応性のPBTか。
事業用電気工作物の工事、維持および運用について保安監督を行う電気主任技術者。この資格を取得するには難関の国家資格が立ちはだかり、特に、登竜門となる電験三種は近年の合格率が10%前後で推移しているハードルの高さだ。
その難関資格が、これまで1回の筆記試験のみで合否が決まっていたが、2022年度の2期制をキッカケに、試験方式に改革がもたらされた。
そう、2023年度からスタートするCBT方式だ。
エポックメイキングといっても過言ではないCBT方式について、試験方式の変遷をたどりながら、その概要を詳しく取り上げる。
電気主任技術者試験の歴史は古く、約110年前の1911年、旧電気事業法の施行で資格検定として制度が始まったという。そこから1965年に新電気事業法が施行され、現行の電気主任技術者制度がスタート。試験内容はというと6科目(理論、発変電、送配電、機械、応用、法規)の2日制、記述方式で行われていた。
1982年には記述方式から5肢択一式のマークシート方式を採用。さらに、1995年に施行された電気事業法の大改正に伴い、6科目2日制から4科目1日制に変更し、科目別合格制度(その年に合格した科目は、2年間、受験が免除される)が導入され、現在の「理論、電力、機械、法規のマークシート方式」が定着した。
そして、2023年、再び試験制度にドラスティックな変化が生じた。PCを使ってオンライン上で試験を行うCBT方式が導入されたのだ。
これまでは指定された試験会場に集まって必要な科目を受けていたが、CBT方式では47都道府県の約200会場で実施。これだけでもエントリーしやすいという印象を受けるだろう。そして、受験者にとって最もメリットを感じる部分が「受験スケジュールを自分で組める」ということではないだろうか。
CBTの試験期間は25日間(2023年度上期は7月6日~7月30日)で、この期間内であれば受験者の都合に合わせて会場、科目、日程を選ぶことができる。例えば、A会場で●日に理論と電力、▲日に機械と法規、極論すると、1日1科目というスケジュールを組むことも可能だという。学習の総復習を行えたり、体力的にムリのない日程で挑戦できたり、CBT方式はスケジュール面においては大きなアドバンテージといえる。
会場および試験日時も予約した試験日の3日前までなら変更に対応するというCBT方式(試験日が15日なら、12日の23時59分まで変更可能)。まさに「受験者ファースト」といっても過言ではない。

CBT方式の体験版(試験ではチュートリアルを要確認)。右上に残り時間、右下には問題の前後と、解答を保留する場合にチェックできる「後で見直す」ボタンが配置。これは左下の「解答状況」から確認し、表示させることができる。また、PC画面上で問題を確認しにくいケースを考え、それぞれの問題には拡大、縮小が可能なインジケータ機能を装備している。すべての解答が終わったら、右上の「試験終了」をクリックして終了となる。
ここで、CBT方式の概要をまとめてみる。
・1回の試験で、CBT方式とPBT方式の両方を受験することはできない。
理論と電力はCBT、機械と法規はPBTという組み合わせ受験も不可。
・試験期間中、各科目の受験は1回のみ。
・筆記用具、メモ用紙、定規などは持ち込み禁止。
試験会場で貸与があり、試験後は回収される。
・電卓は1台に限り持ち込み可能(数式記憶、関数計算、印字機能つきは不可)。
PCに電卓機能が入っているため、持参しなくても対応可能。
上記以外にも公正を期すため、カバンはもちろん、携帯電話や時計の試験会場への持ち込みも禁止で、試験終了後は試験問題と解答の公開は行われないという。
そして、CBT方式で最も注意すべき事項が、試験問題の扱いだ。試験日が複数になるため、問題の流出や情報の開示が不正行為にあたる。ようするに、どんな問題が出たか受験者で共有したり、SNSで拡散したり、「試験問題」の取り扱いについてはナーバスにならないといけないということだ。不正行為が発覚した場合、受験の取り消しに加え、損害賠償請求などの措置が講じられるので注意が必要である。
CBTとPBT、試験方式は異なるが、同じ「第三種電気主任技術者」を取得するための試験であり、難関であることに変わりはない。合格基準も各科目で原則として60点、難易度により合格基準を調整する、いわゆる「得点調整」を行うケースがあることも両方式の共通項。そのため、期や年度が異なれば、2つの方式を組み合わせて4科目合格を狙うことも可能だ(2023年度下期にPBTで理論、電力に科目合格し、2024年度上期にはCBTで機械、法規に合格したら4科目合格となる)。
ムリのないスケジュールで挑戦できるCBTか、それとも、これまでの慣習で受験しやすいPBTか……。史上最も大きいといっても過言ではない試験制度の改革が、いよいよ、始まった。
(取材協力/一般財団法人 電気技術者試験センター)
CBT方式で受験する場合の概要

受験申込時、CBT会場予約期間に「マイページ」上でCBT方式かPBT方式かの選択ができる。詳細は電気技術者試験センターHP「令和5年度より電気工事士学科試験および第三種電気主任技術者試験にCBT方式を導入します」を要チェック。
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