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【洋上風力や離島および過疎地域における対応を追加】「主任技術者制度の解釈及び運用」が改正
主任技術者の「選任制度」および「承認制度」に適用
2023.09.14
主任技術者の選任制度、選任許可制度、外部委託承認制度、兼任承認制度の詳細を定める経済産業省内規「主任技術者制度の解釈及び運用」において、電気主任技術者とダム水路主任技術者に係る「海洋再生可能エネルギー発電設備」および「離島又は過疎地域等」に関する改正が令和5年9月1日に行われた。
具体的には、洋上風力発電所をはじめとする海洋再生可能エネルギー発電設備については、安全な保安業務を遂行するために「2時間以内に到達」すべき場所の詳細が追加され、また、外部委託承認制度および兼任承認制度について、従前から2時間以内の到達が困難な場合の配慮が規定されている離島および過疎地域について、新たな当該対象地域が指定された。
改正および追加の詳細内容を以下にまとめる。
●選任制度のうち統括電気主任技術者制度における「海洋再生可能エネルギー発電設備」に係る改正(太字が追加部分)
3.規則第52第1項の表第6号に掲げる事業場等について行う主任技術者の選任は、次のとおり解釈する。
(直接統括する事業場の電気主任技術者の選任)
(1)発電所、蓄電所、変電所、需要設備又は送電線路若しくは配電線路を管理する事業場(以下3.において「被統括事業場」という)を直接統括する事業場(以下3.において「統括事業場」という)のうち、自家用電気工作物であって電圧170,000ボルト未満で連系等をするものへの電気主任技術者の選任は、次に掲げる要件の全てに適合する場合に行うものとする。
なお、被統括事業場について、その数が7以上(発電所又は蓄電所と同一設置者が設置する送電線路又は変電所を介して電力系統に接続し、これらの電気工作物を一体として運用する事業場等は1とみなすことができる。このうち、風力発電所については、複数の発電機を一体として運用する発電所は1とみなすことができる)となる場合は、保安管理業務の遂行上支障となる場合が多いと考えられるので、特に慎重を期することとする。
①、②(略)
③ 被統括事業場は、次に掲げる要件の全てに該当する場合を除き、統括事業場から2時間以内に到達できるところにあること。ただし、被統括事業場の設備が、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(平成30年法律第89号)第2条第2項に規定する海洋再生可能エネルギー発電設備(以下「海洋再生可能エネルギー発電設備」という)である場合は、当該設備に接続されており、陸上に設置されている電路を遮断する装置まで2時間以内に到達できるところにあること。
イ(略)
ロ 担当技術者が常時勤務する事務所(以下この③において「担当技術者駐在所」という)は、被統括事業場(被統括事業場の設備が、海洋再生可能エネルギー発電設備である場合は、当該設備に接続されており、陸上に設置されている電路を遮断する装置)に2時間以内に到達できるところにあること。
ハ~ト(略)
④、⑤(略)
(2)(略)
●外部委託承認制度(電気主任技術者関係)における「海洋再生可能エネルギー発電設備」および「離島又は過疎地域」に係る改正(青字が改正部分、太字が追加部分)
4.規則第52条第2項の承認は、次の基準により行うものとする。
(1)~(6)(略)
(委託契約書に明記された者による保安管理業務の実施等)
(7)規則第53条第2項第5号の「電気工作物の工事、維持及び運用の保安に関し、設置者及び委託契約の相手方の相互の義務及び責任その他必要事項が委託契約に定められていること」は、次に掲げる全ての事項を委託契約書等から確認できることとする。
①(略)
② 月次点検を、次に掲げる要件の全てに従って行うこと。
なお、告示第4条第4号に規定する太陽電池発電所(告示第4条第4号の2及び第4号の3に規定する受変電設備を除く。以下②において同じ)又は告示第4条第8号ロに規定する需要設備に係る月次点検については、電気管理技術者等が当該設備の設置場所(以下「現地」という)と異なる場所(以下「遠隔地」という)から適確に行える場所にあっては、現地又は遠隔地のいずれかで行うことができるものとする。このうち、告示第4条第8号ロに規定する需要設備にあっては、遠隔地から適確に点検を実施できるよう措置した需要設備として別紙に定める要件を満たすものであることとし、3月に1回以上を現地で行わなければならない。また、遠隔地で点検を実施する場合にあっては、その旨を保安規程に規定すること。
イ、ロ(略)
ハ イ及びロの点検のほか、設置者及びその従事者に、電気工作物の異常等がなかったか否かの問診を行い、異常があった場合には、電気管理技術者等としての観点から点検を行う。その際、告示第4条第8号ロに規定する需要設備に係る問診を遠隔地で行う場合にあっては、設置者又はその従事者は、原則として現地にて問診を受けるものとする。
③~⑥(略)
(8)(略)
(9)規則第53条第2項第6号の「遅滞なく到達」とは、2時間以内に到達することを要することとする。ただし、当該事業場の設備が、海洋再生可能エネルギー発電設備である場合は、当該設備に接続されており、陸上に設置されている電路を遮断する装置まで2時間以内に到達することを要することとする。
(過疎地域等の自家用電気工作物に対する措置)
(10)申請に係る自家用電気工作物が離島振興法(昭和28年法律第72号)第2条第1項の規定により指定された離島振興対策実施地域(以下「離島振興対策実施地域」という)、奄美群島振興開発特別措置法(昭和29年法律第189号)第1条に規定する奄美群島(以下「奄美群島」という)、山村振興法(昭和40年法律第64号)第7条第1項の規定により指定された振興山村(以下「振興山村」という)、小笠原諸島振興開発特別措置法(昭和44年法律第79号)第4条第1項に規定する小笠原諸島の地域(以下「小笠原諸島」という)、沖縄振興特別措置法(平成14年法律第14号)第3条第3号に規定する離島(以下「離島」という)又は過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和3年法律第19号)第2条第1項に規定する過疎地域(以下「過疎地域」という)に設置される場合には、当該申請の審査に当たっては保安管理業務の円滑かつ適切な実施に支障が生じないよう配置することとする。
(11)(略)
●外部委託承認制度(ダム水路主任技術者関係)における「離島又は過疎地域等」に係る改正(青字が改正部分)
5.規則第52条第3項の承認は、次の基準により行うものとする。
(1)~(4)(略)
(委託契約書に明記された者による保安管理業務の実施等)
(5)規則第53条第2項第5号の「電気工作物の工事、維持及び運用の保安に関し、設置者及び委託契約の相手方の相互の義務及び責任その他必要事項が委託契約に定められていること」は、次に掲げる全ての事項を委託契約書等から確認できることとする。
①(略)
② 月次点検を、次に掲げる要件の全てに従って行うこと。
イ(略)
ロ 上記②イの点検のほか、設置者及びその従事者に、電気工作物の異常等がなかったか否かの問診を行い、異常があった場合には、ダム水路管理技術者等としての観点から点検を行う。
(6)、(7)(略)
(過疎地域等の自家用電気工作物に対する措置)
(8)申請に係る自家用電気工作物が離島振興対策実施地域、奄美群島、振興山村、小笠原諸島、離島又は過疎地域に設置される場合には、当該申請の審査に当たっては保安管理業務の円滑かつ適切な実施に支障が生じないよう配慮することとする。
●兼任承認制度における「海洋再生可能エネルギー発電設備」および「離島又は過疎地域等」に係る改正(青字が改正部分、太字が追加部分)
6.規則第52条第4項ただし書の承認は、次の基準により行うものとする。
(1)電気主任技術者に係る規則第52条第4項ただし書の承認は、その申請が次に掲げる要件の全てに適合する場合に行うものとする。
なお、兼任させようとする事業場等の最大電力が2,000キロワット以上(ただし、太陽電池発電所又は蓄電所については出力5,000キロワット以上。太陽電池発電所以外の発電所については出力2,000キロワット以上)となる場合又は兼任させようとする事業場若しくは設備が6以上となる場合は、保安管理業務の遂行上支障となる場合が多いと考えられるので、特に慎重を期することとする。
①~③(略)
④ 兼任させようとする者の執務の状況が次に適合すること。
イ 兼任させようとする事業場等は、兼任させようとする者が常時勤務する事業場又はその者の住所から2時間以内に到達できるところにあること。ただし、当該事業場の設備が、海洋再生可能エネルギー発電設備である場合は、当該設備に接続されており、陸上に設置されている電路を遮断する装置まで2時間以内に到達できるところにあること。
ロ(略)
⑤(略)
⑥ 兼任させようとする事業場等が離島振興対策実施地域、奄美群島、振興山村、小笠原諸島、離島又は過疎地域に設置される場合には、当該申請の審査に当たっては保安管理業務の円滑かつ適切な実施に支障が生じないよう配慮することとする。
(2)ダム水路主任技術者に係る規則第52条第4項ただし書の承認は、その申請が次に掲げる要件の全てに適合する場合に行うものとする。
なお、兼任させようとする水力発電所のダムの基礎地盤から堤頂までの高さが15メートル以上となる場合又は兼任させようとする事業場等が6以上となる場合は、保安管理業務の遂行上支障となる場合が多いと考えられるので、特に慎重を期することとする。
①~④(略)
⑤ 兼任させようとする事業場等が離島振興対策実施地域、奄美群島、振興山村、小笠原諸島、離島又は過疎地域に設置される場合には、当該申請の審査に当たっては保安管理業務の円滑かつ適切な実施に支障が生じないよう配慮することとする。
(3)、(4)(略)
(文/編集部)